足の筋肉が重だるい原因と症状、漢方薬の使い分け

足の筋肉が重だるくなる原因

足の筋肉が重い・だるいと感じるのは、単純に疲労が原因のものから病気が隠されているケースまで様々です。それぞれ対処法が異なるので、まずは原因を見極めることが大切となります。

  • 疲労

普段より長い距離を歩くことや、スポーツなどで疲労が蓄積することで足の重さ・だるさが起こることがあります。また運動をしていなくても肉体的な疲労などが原因で筋肉の張りが起こり、血流が悪くなって老廃物が溜まることで起こる足の重だるさもあります。

  • 血行不良

血行不良の原因の一つには冷えがあります。冷えて血管が収縮することで血流が悪くなり、足の重だるさやむくみが起こることがあります。その他長時間のデスクワークや立ち仕事、妊娠中の循環器系の変化などにより足の血行が悪くなることもあります。

  • 病気が原因のもの

足の重だるさが症状の一つとして起こる病気に下肢静脈瘤があります。静脈は全身から心臓へ戻る血液が通る血管であり、内部に重力で血液が逆流しないための弁があります。この弁が機能しなくなることで血液が血管に溜まり、コブのように膨らんだ状態になります。血流が悪くなることで足の重だるさの他にも足のむくみやつり、悪化すると湿疹や潰瘍などの皮膚症状が現れることがあります。

その他にも糖尿病による末梢神経障害やビタミン欠乏症、肝臓や腎臓の病気、膝や腰の障害が影響しているものなど様々なものがあります。

足の筋肉の重だるさの改善方法

疲労や血行が悪いことで起こる足の重だるさは、ストレッチやマッサージを行う、入浴や足湯をして温める、足を心臓より高くして寝る、弾性ストッキングを使用するなどの対策で改善することがあります。何らかの病気が原因である場合は適切な治療を受けることが必要です。下肢静脈瘤や腰の病気など、自己判断のマッサージやストレッチで症状の悪化が心配される疾患もあるので、主治医等に相談して行うようにしましょう。

下肢静脈瘤の治療としては、医療用弾性ストッキングを用いる保存療法、静脈の結紮や静脈瘤に薬剤を注入して固める方法、手術による静脈の抜去、レーザーで静脈内を焼く療法などがあります。下肢静脈瘤の種類や程度によって治療法が選択されます。

足の筋肉の重だるさへの効果的な漢方薬治療と対策

足の重だるさの原因を漢方から見ると、「お血(血の流れの滞り)」や「水毒(体内の余分な水によって起こる不調)」による血行不良やむくみなどが考えられます。下肢静脈瘤も漢方ではお血ととらえます。加齢などによる足腰の弱りからくるだるさには、下半身の機能に関係する「腎」を補う漢方薬が有効なことがあります。妊娠中の足のだるさの場合は使用できない処方があるので注意が必要です。

疎経活血湯・・・血を補い、体の余分な水を除き、気や血の巡りを良くして筋肉や関節の痛みなどを改善する作用があります。お血が原因で起こる主に腰から下の症状に効果的な漢方薬です。体力中等度でむくみなど水の停滞があり、冷えや湿気で症状が悪化するような人に向いています。

桂枝茯苓丸・・・代表的なお血を改善する漢方薬の一つであり、下肢静脈瘤の治療にもよく使われます。比較的体力があり、お血からくるのぼせ(または冷えのぼせ)、頭痛、肩こりなどがあるタイプの人に向いています。体力があまりなく、冷えやむくみなどを伴う人には当帰芍薬散を用います。

五苓散・・・水分代謝を良くし、体内の水の偏りを調節する作用があります。水分を摂っても喉が渇く、摂取した水分量の割に尿量が少ないといった症状があり、むくみなどが出てしまう人に効果的です。体力の有無に関わらず広く使用できる漢方薬です。

防已黄耆湯・・・水の代謝を改善し、脾(消化器)の働きを良くして体に元気をつける作用があります。水毒によるむくみに膝の腫れや痛みを伴い、足や体のだるさがあるような場合に用いられます。体力が弱く、筋肉が柔らかい「水太りタイプ」の人に向いています。

牛車腎気丸・・・生命の源とされる「腎」の働きを補い、泌尿器系や足腰の弱った状態を改善する作用があります。体を温め水の代謝を良くする作用もあります。主に中高年以上で、体力がなく冷えやむくみ・尿量減少などがある人の足腰がだるい症状に効果的です。

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