「逆流性食道炎」は5人に1人の病気とも言われる病気で、胃酸や消化液が食道に逆流することによって食道の粘膜に炎症を起こす疾患です。
「逆流性食道炎」の症状と原因
主に「胸やけ」「ゲップ」「食べ物がつかえる」「のどがイガイガする」「胃もたれ」「胃痛」「胃の膨満感」「オナラが頻繁にでる」などが挙げられます。これらは誰でも経験したことがある症状だと思いますが、長く続くようであれば、「逆流性食道炎」」かもしれません。
「逆流性食道炎」の症状が出る原因は、胃液が食道に逆流して、食道に炎症が出来てしまうためです。胃液は酸性が強いので胃酸が食道に逆流してくると、食道は炎症を起こしてしまうのです。
胃液が逆流してしまうのは何が原因でしょうか?もともと、胃と食道の間には、逆流しないようにブレーキがあるのですが、逆流性食道炎ではそのブレーキに問題が起こっています。その誘因となってしまうのはあなたの普段の生活の中にあります。「ストレス」「飲食」「食べ過ぎ・呑み過ぎ」「脂肪分が多い食事」「長いデスクワーク」「食後すぐ横になる」「喫煙」「きつい下着の着用」など思い当たることはありますか?これらは、胃と食道のブレーキの働きを抑えてしまい、逆流しやすくなってしまいます。
「逆流性食道炎」は早目に気づき、原因の改善と、再びならない為の生活&体質改善が必要です。
治療をする為には、第1に原因となる生活を改善しましょう。そして、まず消化器内科などの胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を実施できるところに相談しましょう。まず受診してみるのが良いのは、食道に悪いものがないかどうか、医師に評価してもらうためです。
「胃酸が逆流してしまう症状」を繰り返している場合、漢方薬も有効な場合があります。漢方薬は胃と食道をもとの状態に戻すと共に、丈夫にしてくれる効能があると言われているからです。
漢方薬(東洋医学)が市販薬や処方箋で出されるお薬(西洋医学)に比べて利点はどんなところでしょうか?
お薬は、今の苦しく辛い症状を短時間で効き目を発揮する事に優れていますが、状態を抑える(逆流性食道炎であれば胃酸の分泌量を抑える)なのです。
その症状がすぐにまた繰り返されたり、定期的に発症するのであれば、胃酸が逆流する原因が改善されていないという事になります。また、人に寄りますが、西洋薬で出る副作用(PPIでは下痢や低マグネシウム血症や骨粗鬆症など)もあるので、漫然とPPIを継続するより。体質の改善なども検討していく必要があります。
漢方薬は「逆流性食道炎」の原因を改善してくれる場合があります。例えば、消化する力が衰えていることから起こる「疲労感」「お腹の張り」「胸やけ」などがある場合、消化を助け、炎症に作用し、疲労回復の効果がある漢方を処方することにより、本来持っている健康な胃と食道を取り戻し、それに伴う疲労感を取り除きます。
このように漢方薬(東洋医学)は、病んでいる臓器のみに着目する(西洋医学)のではなく、身体全体の流れを考えた私たちが本来持っている健康な身体を取り戻すことで病気を改善する事に特化しているのです。
それではどんな「逆流性食道炎」には漢方薬を服用すれば良いでしょうか?
逆流性食道炎に使う漢方薬と、似た漢方薬の使い分け方法
漢方薬は、同じ症状であっても、体質によって服用する物が大きな特徴です。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
心身共に疲れやすく、冷え症でうつ傾向にある人に向いています。気持ちを落ち着かせ、咳や吐き気を抑えます。体内の「水」の循環を良くし、沈静作用があり、身体を温める事により胃腸の働きを良くすると言われています。。
六君子湯(りっくんしとう)
やせ型で冷え性、顔色が優れず疲れやすい人に向いています。胃腸の働きを良くします。不必要な水分を取り除き、滋養作用・吐き気を抑え、胃を強くする作用が期待できます。。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
体力が中以上の人に向いています。胃腸の働きを良くします。吐き気を抑えみぞおちの張りやのどのつかえをとり、熱や炎症を冷まします。お腹がゴロゴロ下痢気味に用いられます。
このように「逆流性食道炎」を根本から治すには、体質・症状にあった正しい漢方薬を医師や漢方薬局に相談し正しい処方をしてもらう事が必要です。