自律神経失調症の
基本と理解
西欧の教科書には autonomic dysregulation(imballance, dystonia)という独立した病名(いわゆる自律神経失調症と同じ病名)はありません。
近年日本では、これまで自律神経失調症と呼ばれていた病態が、実はうつ病やパニック障害や全般性不安障害などの精神疾患として診断可能であるとするいくつかの研究結果が発表されております。
色々な状態の複合であると考えられており、自律神経失調症という診断がつく場合が急速に減ってきています。
初診時に 3 つ以上の愁訴(いわゆる不定愁訴)で、大学病院心療内科を受診しその後も外来を受診した患者 88 例を検討した結果。その全例を DSMCIII の診断基準(アメリカ精神医学会「精神疾患の分類と診断の手引き」)によ
り診断することができたという報告もあります。(JIM 11巻 7号 pp. 632-635(2001年07月)より図とともに引用)
実際に、医学書籍に自律神経失調症が取り上げられる頻度は、上記の報告が出てから急速に減ってきています。
ですが、一方で、まだ説明や診断の付かない症状で実際に困っている患者さんは沢山いらっしゃり、そのような状態をMUS(medically unexplained symptoms)と包括する考え方があります。
MUS(medically unexplained symptoms)
原因を医学的に説明できない状態
自律神経失調症で鍼灸を探して見える患者様の多くは、こういった原因を医学的に説明できない状態に困っていると考えています。このページでは、そういったお困りごとに、どのように対応すると良いかを鍼灸院と医師の視点で解説します。
「自律神経失調症かも」と言われている患者さんの症状
- 動悸
- 発汗
- めまい
- ほてり
- 頭痛
- 胃痛
- 腹痛
- 下痢
- 吐き気
- ふるえ
- 筋肉痛
- 喉のつまり感
- 息切れ
- 食欲不振
- 全身倦怠感
これらの症状が複数組み合わさって出てくるような時、自律神経失調症かもと言われる場合が今もあります。
ただ、その症状をどのように良くするかについて、薬だけでは一筋縄ではいかないことが多く患者さんが解決方法を探して鍼灸院に相談いただくことが多いです。
鍼灸と自律神経失調症の関係
鍼灸は以下の状態へのアプローチが得意で、自律神経失調症と呼ばれ困っている方にお役立ちできることが多いです。そのため、鍼灸が自律神経失調症に良いと考える方が多いと考えられています。我々としても、鍼灸が良い働きがあると考えています。
- 説明のつかない症状全般への症状改善
- 心のコンディションが症状と関連する疾患(ストレス関連疾患など)
- 気持ちの落ち込み
- 不眠
- 不安(不安は喉のつまりや息切れや動機を起こします)
- 胃腸症状
- 痛み
- 自律神経のバランス調整
自律神経失調症と言われたら
まずどこに相談したらよい?
精神科・心療内科
上記のように、自律神経失調症では薬が効くような精神科・心療内科領域の疾患と分類されることも多く、専門医の目で症状の相談をしていただくとよいです。
例えば、当院の近隣にある、豊田土橋こころのクリニック様などや、メンタルクリニック等では診断・治療に関し相談する診療科になります。
総合診療科
総合診療科は内科とは少し異なる診療科で、人の体を疾患という概念とメンタルの概念と社会の概念から俯瞰的に診療する、BPSモデル(Biology-Psycological-socialモデル)として考える診療科です。
主にこの2つの診療科が良いでしょう。
総合診療科では総合的なアプローチを提供するためにBPSモデルという考え方を用いています。これにより「生物学的」「心理学的」「社会学的」な側面が相互に関連していることを考慮してより包括的なアプローチが可能となります。
生物心理社会モデル
(BPSモデル)
BPSモデルは「痛みのモデルではなく生物医学を考える」上で必要な考え方です。1977年に精神科医であるジョージ・エンゲルが提唱しました。
怖い病気の除外から、心理的な要素、その方の社会背景が及ぼす症状への影響などを見ていくモデルです。
豊田市だと、豊田地域医療センターの総合診療科などが総合診療科として有名です。
総合診療科は「何科を受診すれば良いか分からない」「健康になるためにはどうしたら良いか相談したい」「家族の介護の相談もしてみたい」など、暮らしのあらゆる健康問題に寄り添うための診療科です。
BPSモデルでの診療が出来る前は、医師はしばしば「体のことだけ」「心のことだけ」に終始してしまうこともあり、「どこも問題ない」「異常は見当たりません」と患者に説明して終診になってしまうことがありました。
でも、それだけでは不安が残りますし症状の解決もできません。
特に、症状が続いて解決方法がなかなか見つからない場合、医師も時には否定的な感情を抱いてしまう結果、「(体の異常が見つからないから)精神的な原因かもしれません」といった言葉で、患者さんとの関係を終わらせようとしてしまい、お互いに困ってしまうことがありました。
現在、総合診療科などのBPSモデルを取り入れている診療科では、あなたの悩みをもたらす疾患・心理・社会的背景を考え、解決の方法を考えるという診療がされるようになってきており、自律神経失調症でお悩みの方に良い診療科といえます。
当院の鍼灸もBPSモデルそれぞれに働きかけるものとして、鍼灸と合わせて受けていただくと良いため紹介しています。
とよた鍼灸サロンHALの
自律神経失調症の
立ち位置
当院の場合は、上記の精神科・心療内科または総合診療科に受診いただきながら、併用して鍼治療を受けていただくことを推奨しています。
受診して「様子を見ていきましょう」「投薬で経過を見ていきましょう」という場合に、鍼治療を併用いただくという方法です。
鍼灸はBPSモデルのB/P/Sそれぞれに働きかけ、症状を改善させるためのアプローチです。
例えばうつ病や不安症状を和らげる働きや、痛みに直接作用する働きや、便秘や下痢などの症状に直接働きかける働きや、ストレスの低減作用や、マインドフルネスなどの心理的な働きや、認知行動療法的な働きを担うことができるため、症状を和らげることや、治療を助けることが期待できるからです。
このように、鍼灸とBPSモデルは相性が良いため、総合診療科の実習や学会などで注目が集まっています。
実際に、総合診療科の領域で、鍼灸を学ぶ医師が増えてきています。2023年のプライマリ・ケア連合学会(総合診療科の先生方向けの学会)では、鍼灸を学ぶセッションがあり、豊田地域医療センター卒の寺澤先生をはじめ、とよた鍼灸サロン医師高杉、鍼灸師白井が医師の学会に鍼灸側の講師として参加しています。
総合診療科出身で、鍼灸師の資格も持つ寺澤先生が執筆された書籍、鍼灸のことが気になったらまず読む本は、医師が鍼灸を学ぶときにはじめに手に取る本です。
総合診療と鍼灸の架け橋となる施設として「とよた鍼灸サロンHAL」は活動しており、豊田地域医療センター総合診療科の先生方には、当院の鍼灸施術を受けていただいたことがあり、どのような施術が出来るか伝えており、顔の見える関係性の先生方も多いです。
総合診療部 髙田健正 先生
総合診療部 岸愛奈 先生
総合診療部 石川海斗 先生
総合診療部 黒田聖也 先生
総合診療部 髙橋史織 先生
総合診療部 中込雅人 先生
そのため、自律神経失調症かもと思って総合診療科を受診され治療を受けられたりした際に鍼灸が良い適応と思われたら、当院での施術をおすすめします。「自律神経失調症で困っている」「でもどこに相談したらいいかわからない。そんなときはぜひ当院にもご相談ください。
BPSモデルに基づき
自律神経失調症を
紐解くと
BPSモデルを用いて自律神経失調症(Dysautonomia)を解説すると「生物学的」「心理学的」「社会学的」な要素が相互に結びついていることがわかります。
生物学的(Biological)
自律神経系の異常:自律神経失調症では、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、過剰な反応や適切な制御が難しくなります。これにより、心拍数、血圧、体温、消化などの機能が正常に調節されなくなり、動機感や胃腸症状が出現することがあります。
生理学的な変化:起立調節の障害により、立ち上がるといった普通の活動に対してもめまいや失神、疲労感などの症状が現れることがあります。これは、血圧の急激な変動や血流の異常に関連しています。
心理学的(Psychological)
ストレスと精神的な側面:長期間のストレスや心的負担が、自律神経の調節機能に影響を与え、症状の悪化を促進する可能性があります。また、慢性的な症状により、精神的な側面での苦悩や不安を経験することがあります。
社会学的(Social)
社会的な影響:自律神経失調症は、患者の日常生活に大きな影響を与えることがあります。例えば、学校や仕事の制約、交友関係の変化、社会的な孤立などが症状を発生させる可能性があります。また、これらの要因は、症状や治療へのアプローチに影響を与える可能性があります。
BPSモデルを通じて見ると自律神経失調症は疾患としてあるだけでなく、心理学的な要素や社会的な影響も関与していることが理解されます。そのため治療やサポートのアプローチも、これらの多岐にわたる要素を考慮して総合的に行われるべきです。医師、心理士、社会福祉士など、さまざまな専門家の連携が必要です。
自律神経失調症の方への
鍼灸治療
歴史的に、自律神経失調症と考えられていた症状に、抗うつ薬などの治療が奏功することが知られており、精神科や心療内科や総合診療科での治療が勧められます。
(JIM 11巻 7号 pp. 632-635(2001年07月)より引用)
自律神経失調症の症状の方への鍼灸併用施術
当院では「HRV」と呼ばれる自律神経の活性の評価と、抗不安・抗ストレス・抗うつ作用のある鍼通電療法を頭部ならびに耳介迷走神経枝に行う施術を行っています。
自律神経失調症=自律神経の乱れではないことは、ここまでの解説で理解いただければと思いますが、副交感神経活性(リラックスできているかの指標)が低いことがストレス関連疾患の悪化につながることが多いため、自律神経バランス評価とバランス調整の施術を行っています。
初回から効果を実感いただく方も多いですが、5回ほど続けていただくと特に効果を実感しやすい施術です。
※これらは個人の感想であり、効果効能を保証するものではありません
自律神経失調症の
鍼灸まとめ
豊田市で自律神経失調症でお悩みの方は、豊田地域医療センターの総合診療科や受診歴のない方は精神科や心療内科などのメンタルクリニックを受診いただき、合わせて当院(とよた鍼灸サロンHAL)を受診いただけると、症状の改善にお役立ちできると考えています。
施術の流れ
ご来院されたらまずは問診票のご記入をお願いしております。(ネット予約でご記入された場合は不要です)
曖昧な項目などは、カウンセリングの際にもお伺いしますのでご安心ください。
ご記入いただいた問診票をもとにご質問させていただきます。不安なこと、迷ってることだけでなく、ご希望などもお気軽にお話しください。
痛みのある部分の確認、動作確認だけでなく、脈やお腹を触れることでも問題点を探っていきます。
的確な施術を行うことと、後ほど施術の効果を確認するためにも確実に記録をとります。
カウンセリングと検査・評価の情報をもとに施術を行なっていきます。
マッサージは心地よくリラックスできるように、鍼灸は的確かつ迅速な施術でお身体への負担を最小限にするように心がけております。
施術効果の確認を行なっていきます。
痛みや関節の可動域など、最初に行った検査・評価と照らし合わせて症状の変化を確認し、生活でのアドバイスやご自身でのケア方法などもお伝えします。
お疲れさまでした!
お帰りの際には、スッキリと明るい笑顔でお見送りできるように最善を尽くします!
自律神経失調症のこなら
お気軽にご相談ください
鍼灸は「代替医療」と呼ばれることがあり、医療の代替手段として選ばれることがあります。しかし、それでは西洋医療で治療方法が確立されている病気にとって手遅れになってしまいます。
当院が推奨しているのは
「医療と鍼灸の併用療法」です。
とよた鍼灸サロンHALは、豊田市初のクリニック併設鍼灸院です。当サロンでは「いつもの治療」を活かすために鍼灸を併用するという新しい選択肢を提案しています。
病院で勤務していると「おくすりばっかり増えて」という患者さんのお言葉をいただくことも多いです。私達も出来れば必要でない薬は減らしたいです。
例えば「痛み止めを減らしたい」という場合、鍼灸で痛みが減れば減らせるかもしれません。関節リウマチの場合もリラックスや安心感を持って治療に取り組んだほうが、同じ薬でも効果が高いという報告もあります。
鍼灸で体調を整えて今の症状が良い方向にいくよう、医療と併用できる当院ならではの鍼灸の併用療法をうけてみてください!
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ご返信にはお時間がかかることがございますので、日程とお時間に余裕も持ってご利用ください。
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最寄りI.C. | 東名高速 豊田I.C.から10分 |
電話 | 0565-41-5645 |
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