黄連解毒湯の特徴
比較的体力があり、のぼせぎみで、イライラする人で高血圧に伴う鼻出血や不眠症、めまいなどの症状があるときに用いられます。
上記の症状に加え、のぼせがさらに強く、体力がかなりあり、便秘する人には、三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)が用いられます。
中国・唐時代の古典である「外台秘要方(ゲダイヒヨウホウ)」に記載されています。昔は、吐血・下血などの出血をともなう症状があるときに使われていました。
次のような人に有効です。
- 体力がある
- のぼせぎみで顔色が赤い
- イライラして落ち着かない傾向がある
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黄連解毒湯の作用・効果
黄連解毒湯に含まれている4つの生薬は、どれも体を冷やす作用があります。黄連解毒湯に含まれる生薬はどれも苦く、服用したときは強い苦さを感じます。ただ、苦い薬というのは、胃腸の働きを整える作用があり、その現象は「苦味健胃薬(クミケンイヤク)」で知られています。
臨床試験では、直接血圧は下げないものの、高血圧にともなう興奮、精神不安、睡眠障害、のぼせ、顔面紅潮に対し有効性が確認されています。また、薬効試験では、循環系(心臓や血管など、血液が関わる組織)への作用や胃粘膜傷害に対する作用、抗炎症作用が確認されています。
お酒を飲むときに、黄連解毒湯を服用しておくとアルコールの代謝が活発になります。作用としてはアルコールによる熱を冷まし、効果として二日酔いの症状を軽減してくれます。
アトピー性皮膚炎に対する効果
赤みがあって痒みの強いアトピー性皮膚炎に対しても黄連解毒湯を使用することがあります。黄芩には抗アレルギー作用があるとされ、使用されます。学童期にも好んで使用されます。ニキビを合併しているようなアトピーにも良いとされます。
酒さに対する効果
黄連という生薬は、おなか(具体的には横隔膜)から上の熱を取る働きがあるとされます。のぼせてイライラし,不眠などがあり、顔面紅潮する場合に用いると改善するという臨床報告が多数あります。
のぼせ・不眠症に対する効果
のぼせや不眠症などの交感神経の興奮状態で、熱感が強い人で良いとされます。
脳血管障害後(脳梗塞後・脳出血後)の黄連解毒湯の効果
長谷川先生らは脳梗塞発症後1か月以上経過している人を対象に黄連解毒湯を使用したころ、頭痛や頭重感、めまい、肩こり、のぼせなどを60-70%ほど報告しています。また、基礎実験のレベルでは脳梗塞を起こして血流が少なくなった脳部分への血流増加するという研究が出ています。
黄連解毒湯の成分・効能
黄連解毒湯は、4種類の生薬からなります。
・黄連(オウレン):キンポウゲ科のオウレンなどの細い根を除いた根茎を乾燥させたもの。薬効は「熱」を取って、「水(スイ)」の滞りを除き、みぞおちのつかえや膨満感を鳥、腹痛や下痢、嘔吐を改善する作用があります。さらに解毒作用もあります。
・黄芩(オウゴン):シソ科のコガネバナの根の周りを除いて乾燥させたもの。薬効は、「熱」を冷ましながら、「水(スイ)」の滞りを除く作用があります。みぞおちのつかえや、胃の不快感、膨満感、下痢の症状を改善します。
・黄柏(オウバク):ミカン科木肌の周皮を除いた樹皮。薬効は、胃腸症状を改善し、消炎作用があります。また熱をさます作用もあります。
・山梔子(サンシシ):アカネ科のクチナシの果実を乾燥させたもの。薬効は、熱を冷まし、のぼせ、胸苦しさをよくするとともに、「気うつ」症状を改善します。
黄連解毒湯の副作用
黄連解毒湯に含まれている4つの生薬は、どれも体を冷やす作用がありますので、「熱や炎症がない人」「胃腸の弱っている人」「体力の衰えている人」などが使用すると、下痢などの副作用が起こりやすくなります。
冷え性の人には向いていません。証が合わない人(黄連解毒湯が今の時点で相性が良い薬ではない)の場合では、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等 が出てくることがあります。合わないなと感じたら、相談してみるとよいでしょう。
過敏症(アレルギーとしては、発疹、蕁麻疹等が出る場合があります。
また、重要な副作用としては、黄芩の入っている漢方薬全般で、間質性肺炎と肝機能障害に注意が必要です。使用中に咳がでたり、息切れがあったり体調不良時は、内服を中止し、医師の診察を受けることが望ましいです。
また、まれですが腸間膜静脈硬化症という病気の報告もあります。
黄連解毒湯の服用方法
ツムラ黄連解毒湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。漢方エキス製剤は、一般的にはお湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されますが、黄連解毒湯は「清熱剤」ですので、お湯に溶かしたあと、冷やして服用するとより効果的です。