桂枝加竜骨牡蛎湯の特徴
神経過敏による不眠、不安症(パニック)、うつ病、ストレスによる勃起障害などがある人に用いられる漢方薬です。さらに、子供の夜尿症(おねしょ)や夜泣きにも用いられます。何かをすると疲れやすかったり、寝汗をかいたり,手足の冷えがある場合に用いられます。
中国・漢代の漢方の原点である「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 体力が衰えている
- 体質虚弱な人
- どちらかというと痩せて顔色悪い方である
- 腹筋の下側に筋肉の張りがある
- イライラや精神不安がある
動悸がしたり、不安や息が切れる感じがあって、内科やいろいろな専門の科では「明らかな器質的異常はありませんね」というような方で、この漢方がとても効いたという方がいます。体質的に少し虚弱で、お腹を触ると、弱い腹筋を通して大動脈の拍動を触れるような体質の方に向いた漢方です。
桂枝加竜骨牡蛎湯の作用・効果
微熱や悪寒、頭痛などの風邪の引き初めに利用される漢方薬である桂枝湯(ケイシトウ)と、神経の高ぶりを抑えて精神を落ち着かせる竜骨(リュウコツ)と牡蛎(ボレイ)を加えたものが桂枝加竜骨牡蛎湯です。
もともとは体調を整える風邪薬である桂枝湯に、気持ちを安定させる作用のある竜骨(哺乳類の化石)と牡蛎(カキの殻)を加えたが加わっています。
高齢者の性的逸脱行動(陰部を、ところ構わずに出してしまう)というような症状で家族の方も施設の方も困ってしまう事態で、桂枝加竜骨牡蛎湯は有効であったという報告がある、その時には、桂枝加竜骨牡蛎湯開始5日後で症状の改善が認められたと報告しています。
男性不妊症に対する桂枝加竜骨牡蛎湯の効果
また、男性不妊症に対する漢方で比較的多く処方される。
このうちの一つで、男性不妊症に使用されます。
男性不妊症では、ほとんどの場合において精巣での精子形成障害が関与しているものと考えられています。遺伝的要因も大きいとされていますが、加えて全身状態、体調もしくは体質など西洋医学では表現しきれない多くの要素が背景にあると考えられています。しかし、欲求面での問題点も指摘されています。腎陰陽両虚と呼ばれる、欲求の減退または異常亢進がある場合に用いられ効果を持つ、と報告する論文や医学書が散見されます(例:臨泌 63 巻 12 号 2009 年 11 月等)。体力がない人に向いています。
桂枝加竜骨牡蛎湯の成分・効能
桂枝加竜骨牡蛎湯は、7種類の生薬からなります。
・桂皮(ケイヒ):ボタン科のシャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」のめぐりをよくし、血行を促進します。筋肉のけいれんを鎮める作用や、鎮痛作用があります。
・竜骨(リュウコツ):古代大型哺乳類の化石化した骨。炭酸カルシウムが主成分です。薬効は、中枢神経抑制作用があります。
・牡蛎(ボレイ):イタボガキ科のカキの貝殻。薬効は、鎮静作用、鎮痛作用、収れん作用、制酸作用があります。胃酸過多、胃痛、動悸、精神不安などの症状に用いられます。
・芍薬(シャクヤク):ボタン科のシャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、「血(ケツ)」のめぐりをよくします。また、筋肉のけいれんを鎮めたり、鎮痛作用もあります。
・生姜(ショウキョウ):ショウガ科のショウガの根茎をそのまま乾燥させたもの。薬効は、体を温め、消化機能を整える作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。料理にも使われるナツメの実です。薬効は、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させたり、筋肉の緊張による疼痛や腹痛などの痛みを和らげる作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科のカンゾウの根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和作用、緊張をゆるめる作用があります。
桂枝加竜骨牡蛎湯の副作用
体力が旺盛な人の精神不安には適していません。
配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。アルドステロン症、ミオパシー(筋肉障害)、低カリウム血症の人は使用できません。
過敏症として、発疹・発赤・掻痒(かゆみ)などの報告があります。
桂枝加竜骨牡蛎湯の服用方法
ツムラ桂枝加竜骨牡蛎湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください