黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ):ツムラ98番の効能・効果、副作用

黄耆建中湯の特徴

虚弱体質、倦怠感、寝汗、疲れやすくて息切れがする人に用いられる漢方薬です。病後の衰弱や食欲不振にも使用されます。また、湿疹・皮膚炎、皮膚のただれにも用いられます。

小建中湯(ショウケンチュウトウ)に黄耆(オウギ)を加えた処方です。小建中湯よりも補益作用が強くなっています。中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク」に記されています。

次のような人に有効です。

  • 虚弱体質
  • 疲れやすい
  • 寝汗がでる
  • 冷え性

黄耆建中湯の作用

膠飴(コウイ)、桂枝(ケイシ)は胃腸の冷えを取り、のぼせ、不眠、動悸を治す作用があります。

芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)、黄耆(オウギ)は痛みを緩和する作用があります。

生姜(ショウキョウ)は体を温めて胃の働きを強くする作用があります。

大棗(タイソウ)は胃腸の働きを助け、体力を増進する作用があります。

黄耆建中湯の成分

黄耆建中湯は、下記の7種類の生薬からなります。

・桂枝(ケイシ): クスノキ科カツラの木の若枝。薬効は、体を温めて、痛みを止める作用があります。

・生姜(ショウキョウ): ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、腹部を温め、発汗させ、嘔気を止める作用があります。

・芍薬(シャクヤク): ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。

・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科ナツメの果実。薬効は、消化を補い、精神を安定させる作用があります。

・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。

・膠飴(コウイ): 米または小麦に麦芽を合わせて作った飴。薬効は、消化を整え、腹痛を止める作用があります。

・黄耆(オウギ):マメ科キバナオウギの根を乾燥させたもの。薬効は、気を補い、汗を止め、腫れを抑える作用があります。

黄耆建中湯の副作用

配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

黄耆建中湯の服用方法

ツムラ黄耆建中湯エキス顆粒によると、通常、成人1日18gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

参考文献
・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方相談ガイド(南山堂)

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