- 症状の特徴
耳鳴りは、耳の奥や頭の中で「キーン」「ブーン」という音が鳴っているように感じる症状です。耳鳴りが起こることで、眠れなかったり、集中できなかったり、イライラしたり、不安になったりと生活に支障が出る場合があります。難聴をともなう場合は、病気が原因の耳鳴りが多いです。
- 西洋医学の治療
原因として考えられるのは、メニエール病、老人性難聴、騒音性難聴、内耳炎、脳腫瘍、血圧異常、加齢、更年期障害、自律神経失調症などが挙げられます。原因不明の場合は、抗うつ剤などを使用し症状の改善を期待する場合があります。
例としては、アデホスコーワ、メチコバール、デパス、マイスリー、レンドルミンなど がよく処方されますが、どれも耳鳴りを治療する薬ではなく、自律神経・末梢神経・血流の改善・抗不安、睡眠を誘導することを目的としています。
- 漢方医学の治療
漢方薬が効果的なのは、血圧や更年期障害による耳鳴り症状です。耳鳴りが起こる原因は、東洋医学でいうところの気、血、水のうち、血が滞る「瘀血」や、水が滞る「水毒」から生じるととらえます。
- 耳鳴りに対して用いられる主な漢方処方
以下にタイプ別に用いられる漢方処方を挙げます。
- 体力が充実しているタイプの人
- 高血圧によるのぼせ、赤ら顔、頭重感→三黄瀉心湯
- 比較的体力があり、高血圧、下腹部に圧痛、便秘症→通導散
- 比較的体力があり、のぼせ、めまい、動悸→女神散
- 体力が中程度以上の人
- 更年期障害の症状をともなう→加味逍遙散
- 高血圧、のぼせ、顔色が悪い→七物降下湯
- 頭痛、頭重感、高血圧、めまい、肩こり→釣藤散
- 体力がない人
- 糖尿病・高血圧などの症状、倦怠感、冷えのぼせ、しびれ、むくみ→八味地黄丸
- 聴力低下、めまい→滋腎通耳湯
- ライフスタイルで注意すること
規則正しい生活、十分な睡眠、健康的な食事、ストレスのない生活を送ることを基本にし、騒音にさらされない、毛染め液やシンナーなどの化学薬品を吸う機会を避けるなどの注意することが大切です。
参考文献
・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)