風邪に対する漢方薬

  1. 症状の特徴

かぜ、インフルエンザは、鼻、のど、気管、気管支の粘膜に起こる急性の炎症性疾患で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、のどの痛み、痰、頭痛、発熱、悪寒の症状があります。また、下痢や嘔吐を伴うこともあります。

インフルエンザの場合は、38℃以上の熱が続き、筋肉痛など節々の痛みが出ます。毎年、11月から2月にかけて流行します。乳幼児や高齢者に脳炎や肺炎などの合併症をおこす可能性が高いため、普通のかぜとは区別されます。

かぜの原因は80~90%がウイルスで、その他にはクラミジア、マイコプラズマなどの最近が原因です。かぜを治すために、抗生物質(抗菌薬)を服用する人もいますが、かぜに対する効果はほとんどありません。抗菌薬の効果があるのは、細菌感染や肺炎のおそれがある場合に限られます。

  1. 西洋医学の治療

まず、喉や頸部のリンパ節、胸部を診察します。インフルエンザや細菌感染が疑われる場合は、血液検査をします。

現在のところ、かぜのウイルスに対する有効な薬はありません。症状を抑える薬を処方し、安静にするように指導をします。

インフルエンザの場合は、抗ウイルス薬が有効の場合がありますが、発症してから48時間以内であれば有効ですが、それ以上になると効果はなく、症状を抑える薬を処方するしかありません。

  1. 漢方医学の治療

普通のかぜに対しては、漢方薬は第1選択に選ばれるべき治療薬です。

一般的にかぜの初期に発熱すれば、薬で熱を下げようとしますが、漢方は、むしろ体を温めて、発熱を助けようとするのが基本です。それによって、体の中の免疫反応を高めたり、発汗を促すことにより、結果的に熱が下がります。

漢方薬を使う時に、かぜの症状が、寒さからくる「陰」か、熱が出ている「陽」か。さらに、病気に対して抵抗力や反応が弱い「虚」なのか、抵抗力が強い「実」なのかで選択されます。さらに、かぜの引き始めの初期のかぜと、かぜが長引いたときでは、東洋医学でいう「証」が変わり、それに合う漢方薬を使い分けます。

  1. かぜ・インフルエンザに対して用いられる主な漢方処方

以下にタイプ別に用いられる漢方処方を挙げます。

  • 体力が充実しているタイプの人
  • かぜの初期:胃腸が丈夫、頭痛、発熱、首のこり、汗なし→葛根湯
  • かぜの初期・インフルエンザ・気管支炎:強い咳、悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、汗なし→麻黄湯
  • かぜ:強い咳、痰、喘鳴→麻杏甘石湯
  • 体力が中程度以上の人
  • かぜ・インフルエンザ:頭痛、寒気、発熱、胸脇苦満→柴胡桂枝湯
  • かぜ:かぜをひきやすい、のどがつまる:柴朴湯
  • 長引くかぜ:倦怠感、食欲不振、吐き気→小柴胡湯
  • かぜ・気管支炎:鼻水、激しい咳、喘鳴、水様性の痰→小青竜湯
  • かぜ治りかけ:発熱、咳、痰→竹茹温胆湯
  • 体力がない人
  • かぜ:汗、冷え性→桂枝加黄耆湯
  • かぜ:下痢、手足の冷え、動悸、めまい、倦怠感→真武湯
  • かぜ:胃腸虚弱、倦怠感、食欲不振、貧血→補中益気湯
  • かぜの初期:くびから背中にかけてのこり、頭痛、発汗→桂枝加葛根湯
  • かぜの初期:胃腸虚弱、頭痛、微熱、悪寒、発汗→桂枝湯
  • かぜの初期:胃腸虚弱、神経質、不安、発熱、頭痛→香蘇散
  • かぜ・気管支炎:咳、高齢者、痰→滋陰降火湯
  • かぜ・気管支炎:せき、痰、鼻水、微熱、悪寒、頭痛、高齢者→麻黄附子細辛湯
  • 長引くかぜ:胃腸虚弱、胸のつかえ、吐き気、発熱→参蘇飲
  • 体力無関係
  • かぜ:のどの腫れや痛み、痰→桔梗湯
  1. ライフスタイルで注意すること

かぜをひかないように日頃から予防をすることが大切です。

外出するときは、マスクを着けたり、外から帰ったときは、うがい、手洗いをすることが大切です。さらに、規則正しい生活、十分な睡眠、健康的な食事、ストレスのない生活を送り、病原体に対する抵抗力、免疫力を高めることも大切です。

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)

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