胃もたれ、胸焼けの漢方薬(効果・効能、使い分け)

  1. 症状の特徴

みぞおちのあたりから喉元にかけて、焼けるような不快な感覚が胸焼けです。胃酸の過剰分泌によって起こる症状です。

食べたものが胃から十二指腸へ排出されるのが遅く、胃の中に溜まっているため胃が重く感じ、ムカムカ、ゲップなどの症状を胃もたれといいます。

食べ過ぎによる胸焼けや胃もたれは、時間が経てば自然に治まりますが、頻発する場合には、病気を疑う必要があります。

  1. 西洋医学の治療

胸焼けが現れる病気には、逆流性食道炎、食道潰瘍などがあります。

また、胃もたれが現れる病気には、胃アトニーや慢性胃炎などがあります。空腹時の胃もたれは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が疑われます。

治療は、胃酸分泌抑制薬や、タンパク質分解酵素阻害薬、胃粘膜防御因子増強薬、制酸薬、抗コリン薬などを用います。

  1. 漢方医学の治療

漢方では、胸焼けや胃もたれを起こしている部位の炎症を治し、体のバランスを正すことで、体質改善を行い、消化管全体の働きを正常に戻すことを目的にしています。さらに、胸焼け以外の症状に応じた漢方薬を使って治療をしていきます。

  1. 胃もたれ・胸焼けに対して用いられる主な漢方処方

以下に体質別に用いられる漢方処方を挙げます。

  • 体力のある人
  • のぼせ、イライラ、めまい、胸苦しさ、動悸→黄連解毒湯
  • 体力が中程度の人
  • 胃の重圧感、つかえ感、食欲不振→黄連湯
  • かぜ症状、消化性潰瘍、胆のう炎、胸のつかえ感→柴胡桂枝湯
  • のどのつかえ感、吐き気、嘔吐→半夏厚朴湯
  • ゲップ、胃のつかえ感、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振→半夏瀉心湯
  • ゲップ、胃のつかえ感、膨満感、吐き気、嘔吐、尿量減少→茯苓飲
  • 体力のない人
  • やせ型、ゲップ、胃酸過多、胃の膨満感→安中散
  • 胃炎、胃下垂などによる消化機能の衰え、食欲不振、貧血→六君子湯
  1. ライフスタイルで注意すること

暴飲暴食を避ける、アルコールの飲みすぎないことや、刺激物の摂取に気をつけることが大切です。また、ストレスを溜めず、規則正しい生活をすることが大切です。

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)
 

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