のどのつかえ感・のどの違和感の漢方薬(原因・病気・対処方法)

■のどのつかえ感とは

のどのつかえ感については、3世紀はじめに書かれたとされる医学書「金匱要略」にも記載されており、喉の異物感を「炙った肉が喉にへばりついているみたいだ」と例えた一文があります。こういった症状は昔からあり、江戸時代には日本でも「梅の種が喉にひっかかったみたいだ」と、のどのつかえ感を「梅核気」と呼んでいました。

また現代医学では「咽喉頭異常感症」、「ヒステリー球」とも言われ、精神的な要因が深く関係する症状として考えられています。喉のあたりに異物感があるけれど、特に痛むわけでも痒いわけでもない。何かが喉にずっとつかえていて、それを飲み込もうとしても飲み込めない、などの不快感が特徴で、ときに吐き気や悪心が現れることがあります。

もちろん、何か病気がないか調べてみることは重要です。実際にのどの違和感で調べてみると、逆流性食道炎があったり食道がんがあったり、胃の病気があったりする場合もあるので、40歳以上で胃カメラをここ数年受けたことがない方は受けてみると良いです。(最近はヘリコバクターピロリの検査や治療の進歩によりかわりつつありますが、http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/igan.htmlをみると詳しく書いてあります)

病院で検査しても、喉や食道などに全く異常が認められないことも多いです。眼に見える異常がないことから治療も出来ず薬も出ないのですが、本人の不快症状は続くため、それが大きな不安や焦燥感を作り出し、更に症状が悪化することがあります。

漢方では「心身一如」といい、身体と心は切っても切り離すことができないほど互いが関わりあっているという考えがあります。ストレスがかかると、頭痛や胃痛、不眠などの身体症状がでるように、人によってはのどのつかえ感が現れるのです。このような場合は、まず原因となる精神症状から漢方で改善していくことがよいでしょう。

【のどのつかえ感の漢方薬】

半夏厚朴湯』  ◇思い悩むタイプに -

「婦人、咽中、炙臠あるが如きは、半夏厚朴湯之れを主る」 「金匱要略」の一文にもあるように、半夏厚朴湯はのどのつかえ感にファーストチョイスの漢方薬です。

漢方では人間の感情を、喜・怒・憂・思・恐・驚・悲の「七情」に分けて考えますが、半夏厚朴湯は、この七情それぞれの感情が乱れることによって起こる精神症状や、精神症状が原因と思われる身体症状に対して力を発揮します。

真面目で神経質な人、何時も思い悩んでいるようなタイプの人に適しています。このような人は「気」が滞っているため、「血」や「水」を巡らす力が低下し、身体が冷えて内臓に水が溜まってしまい、それらが喉のあたりでも停滞するため、異物感を感じると漢方では考えます。

構成生薬の半夏や茯苓、生姜が水の逆行を止め、停滞している水を除き、厚朴と蘇葉で気を巡らすことで血・水の滞りを改善します。体力は中等度からやや虚弱な人まで幅広く使えるので、このような症状が出た時は専門家に相談して、まず一度服用してみるのもよいでしょう。副作用としてかゆみや発疹、発赤が記載されています。

半夏厚朴湯の効果・効能・生薬の成分

柴朴湯』 ◇感情を表に出さない我慢タイプに -

柴朴湯は、半夏厚朴湯と小柴胡湯の合方であり、両方の効果効能を持ち合わせた薬です。のどのつかえ感のほか、息苦しさやストレスによる発作的な咳があるような人に適しています。

半夏厚朴湯と同様に、体力は中等度からやや虚弱な人まで幅広く使えますが、身体はさほど冷えておらず、口が粘る苦く感じる、また胸や脇腹が苦しく感じるようなことがある方に向いているのが特徴です。

小柴胡湯は気の巡りをよくする生薬で構成されており、特に柴胡が身体の熱をクールダウンさせ、身体の中に鬱滞した気を巡らせ症状を改善します。仕事などの人間関係で、イヤなことがあっても他人に「イヤ」と言えず、自分の中で感情を抑え込んで鬱々してしまうタイプの人に向いている漢方薬です。

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害、消化器症状、発疹などが記載されています。

柴朴湯の効果・効能・生薬の成分

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