地黄(ジオウ)の効能・使用される漢方薬 西洋医学との関わり

地黄は、ゴマノハグサ科のアカヤジオウの根の部分であり、補血薬に分類される生薬です。中国、朝鮮、日本を産地とし、テルペノイドを成分としています。

地黄は加工の仕方によって、効能が少しずつ異なる生薬です。火力で乾燥したものを「乾地黄」、乾地黄に酒を加えて蒸したのちに日干しする過程を繰り返して作ったものを「熟地黄」と言います。漢方では、滋陰や補血のみならず補益肝腎効果も持つ、熟地黄が用いられる事が多いです。

【中医学的に見る乾地黄の効能】

心、肝、腎を帰経とし、味は甘、苦、性を寒とする生薬です。熱邪が原因の出血や陰液の損傷に用いられる。消化しにくい生薬である為、胃腸が弱っているときには用いないで下さい。

【中医学的に見る熟地黄の効能】

肝、腎を帰経とし、味は甘、性を微温とする生薬です。血虚によるあらゆる不調、とりわけ女性の月経不順には常に使用されます。補血の主要薬ではありますが、その効果がゆえに滋潤性があってしつこいので、消化不良を起こしやすいです。よって、お腹の調子が悪い時には違う方剤と組み合わせるなどして、工夫して使用する必要があります。

【地黄が使われる主な漢方薬】

  • 四物湯(シモツトウ)

:補血の基本的な漢方薬です。熟地黄はこの漢方薬において、全身の栄養・滋潤に働いて栄養状態を改善する作用を発揮しています。

四物湯(シモツトウ)の効果・効能

  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

:陰証の駆瘀血剤として、最もよく使用されている漢方薬です。熟地黄はこの漢方薬において、全身の栄養・滋潤に働いて栄養状態を改善する作用を発揮しています。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)の効果・効能

  • 八味地黄丸(ハチミジオウガン)

:生薬「山薬」のページを参照して下さい。熟地黄はこの漢方薬において、全身の栄養・滋潤に働いて栄養状態を改善する作用を発揮しています。

八味地黄丸(ハチミジオウガン)の効果・効能

  • 六味地黄丸(ロクミジオウガン)

:生薬「山薬」のページを参照して下さい。熟地黄はこの漢方薬において、全身の栄養・滋潤に働いて栄養状態を改善する作用を発揮しています。

六味丸(ロクミガン)の効果・効能

  • 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

:四君子湯と四物湯に、さらに桂枝と黄耆を加えた漢方薬です。病後の体力低下や疲労倦怠感に用いられます。熟地黄はこの漢方薬において、全身の栄養・滋潤に働いて栄養状態を改善する作用を発揮しています。

十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)の効果・効能

【西洋医学的に見る地黄】

強壮、解熱薬として、糖尿病、前立腺肥大症、老人性腰痛、白内障に応用されています。

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