のどの痛み(咽頭痛)に使用する漢方薬(効果・使い分け)

のどの痛みは、花粉やハウスダストなどアレルギーが原因であったり、風邪によるウイルスや細菌性の、または他の身体の不調により随伴症状が原因となることがあります。

のどの痛みに漢方薬を使用する場合、アレルギーが原因であれば、花粉症などで使われる漢方薬を選ぶことをおすすめします。唾液分泌が少なくなり、口内環境が悪化する口乾(ドライマウス)が原因であれば、まずはその原因を改善するための漢方薬を、また胃の不調により、胃液が喉もとまであがることで炎症が起こってしまうようなときは、胃の調子をよくする漢方薬をまず選択することが大切です。

ここでは誰でも一度は経験する、風邪などによるウイルスや細菌が原因ののどの痛みについての漢方薬をご紹介します。

ドライマウスに対する漢方薬はこちら

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【風邪が原因によるのどの痛みにおすすめの漢方薬】

『甘草湯』 ◇軽い喉の痛みに ‐

多くの漢方薬は、複数の生薬を組み合わせることにより薬効を期待したものですが、この甘草湯は甘草という生薬単味からなる成り立っています。

甘草には炎症を抑えて痛みを鎮めたり、痰を出しやすくする特徴があります。体質や体力にかかわらず使用でき、のどの痛みによく効きます。「少しのどがイガイガするな?」と感じたら、早めに服用することをおすすめします。

2、3日痛むなら甘草湯を、それでも痛みが取れないのであれば、甘草湯に桔梗をプラスした2味の生薬からなる桔梗湯をおすすめします。桔梗には、消炎、鎮痛のほか排膿作用もあります。急性の扁桃炎や嗄声、抜歯後の歯痛などにも効果があります。

甘草湯を服用する場合は、特に他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。身体の浮腫みや血圧が上がるようなことがあれば、すぐに服用を止め専門家にしてください。また甘草湯や桔梗湯は、あくまで頓服薬(痛いときだけ服用する)です。長く服用することは避けてください。アルドステロン症やミオパチー、低カリウム血症などがある方は服用不可です。

『銀翹解毒散(丸)』 ◇発熱・頭痛があり喉が強く痛むときに ‐

銀翹解毒散(丸)は風邪で発熱し、頭痛やのどの痛みが特に辛い時におすすめです。漢方で「風邪のひきはじめ」といえば葛根湯ですが、葛根湯ゾクゾクと寒気があることが特徴で、首や肩のこりを伴い、熱があがり始める風邪の初期状態に使用します。葛根湯は、身体を温め発汗させることで風邪を追い出しますが、銀翹解毒散(丸)は身体の熱を下げ炎症を鎮めることで、頭痛やのどの痛みを改善します。

体力が著しく低下している人、高齢者、食欲不振や胃もたれなどが起こりやすい人は、服用前に専門家に相談することをおすすめします。また甘草が含まれるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。

『桂枝湯』 ◇体力がない人の風邪の引き始めに ‐

桂枝湯は、普段から体力がない人の風邪のひきはじめののどの痛みにおすすめです。自然にじわじわと汗をかいてしまい、熱や痛み症状は弱いことが特徴です。体力のない人は漢方でいう「気」が少ない状態であるため、病邪(風邪)と戦うパワーがありません。葛根湯のように強く身体を温めると、汗のかきすぎでかえって体力を消耗してしまい逆効果となってしまうため、風邪の時は体力や体質に合った漢方薬を選ぶことが大切です。桂枝湯は温める力の強い生薬「麻黄」が入っていません。桂皮や生姜で身体を穏やかに温めて、軽い発汗とともに病邪(風邪)を追い出します。また、芍薬や甘草は汗の出すぎを防ぐ作用もあります。服用後は厚着をするなどで身体を温め、お粥やスープなど飲んでゆっくり休むと薬の効果があがり、治りがはやくなります。

甘草が含まれるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。

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