声のかすれ(嗄声)の原因と漢方薬(効果・使い分け)

肺から息を吐いたとき、その空気が一番狭い喉頭をとおるときに声帯が震えて音声は作られます。この一連のながれのどこかに問題が起きたときに、声のかすれが現れます。

のどに違和感や腫れあって声がかすれる場合は、声帯ポリープやがん、声帯麻痺など病気の可能性もあるため、まずは耳鼻咽喉科を受診することが大切です。耳鼻咽喉科では、鼻からカメラを入れることで、直接声帯の動きを確認することができます。(経鼻内視鏡のもっと小さいもの)

声のかすれる感じのある方で、実際に客観的にもかすれている場合には、時に癌が反回神経という声帯を動かす神経のある場所まで拡大してしまっている可能性もあるため、対症療法的に漢方薬を試してみるのではなく、一度しっかり調べてみましょう。

耳鼻咽喉科を受診し、喉頭の診察をしても全く異常が見られず原因がわからないときや、仕事でどうしても喉を酷使せざるを得ない人は、体質や体力を考慮して漢方薬を選んでみるのもひとつの改善策となるでしょう。

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声のかすれ[嗄声(させい)]におすすめの漢方薬

 『響声破笛丸』 ◇仕事でのどを酷使する人に ‐
響声破笛丸は、16世紀後半に書かれた「万病回春」という医学書に掲載されている中医薬です。歌手やアナウンサー、インストラクターなどの声を使う仕事で、のどを酷使している人や、カラオケなど無理な発生でのどを痛めてしまった人の嗄声に適しています。

効き目も早いため、仕事の前に服用する人も多いようです。この薬は体力や体質に関わらず服用でき、ドラッグストアや漢方薬局でも気軽に購入することができますが、製薬メーカーによっては満量処方でない薬もあるため、効果効能や副作用も含め、店頭の薬剤師や登録販売者に相談しながら薬を選ぶのがよいでしょう。

 
服用後、かゆみや発疹、胃がもたれるなどの症状が現れたときは服用を中止し、専門家に相談してください。また甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。

参考:甘草について

補中益気湯』 ◇虚弱体質の人に ‐

 
補中益気湯は、日頃から身体が疲れ易いタイプで、日常の会話には問題がないけれど長く話をしていると声がかすれてくる、合唱や演劇などの趣味で、一時的にのどを使う機会がある人に適しています。この薬は主に漢方でいう「気虚」(パワー不足)を改善することが目的であり、免疫力をアップさせたり、食べたものの消化吸収を助け栄養状態を改善しますが、実は身体の筋肉の緊張を緩めて動きやすくする作用もあることが知られています。

そのため、声を出すために使うのど周辺の筋肉の緊張を緩めたり、のどの使い過ぎによる疲労の改善が期待できます。
甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害が記載されています。

 『麦門冬湯』 ◇のどや口がよく乾く人に –

麦門冬湯は、のどや口、目が乾くなど身体を潤す力が低下している人で、のどに腫れや炎症などの症状が無いのに、のどがかすれるタイプに適しています。

口内が乾燥すると、唾液が粘り気をおび声帯をふさいでしまうため、声がかすれたり声色が変化するといったことがあります。この乾燥は「気・血・水」でいうと「水」に不調がある場合です。

構成生薬の麦門冬は、身体に潤いを補うとともに、潤いが少ないことで火照ってしまった身体の熱を冷まします。また、粳米には潤いを補う作用のほか、気を補う作用もあるため、水の巡りをよくします。嗄声やドライアイの他、乾燥したタイプの咳や気管支炎、痰が切れにくいなど呼吸器の症状に使われることの多い漢方薬です。

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として肝機能障害や間質性肺炎などが記載されているため、服用前に専門家に相談してください。

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