日焼け・しみ・そばかすの漢方薬

夏の野外で長時間、強い日差しに肌がさらされると日焼けを起こします。日焼けは火傷の一種で、皮膚がんなどを発症するきっかけの1つともなります。

「健康的な小麦色の肌になりたい」などと無防備な格好で外出せず、予防知識を持ち紫外線対策することが、肌の健康に一番重要です。

また女性にとって悩みのひとつとなるしみやそばかすも、紫外線による肌のダメージが主な原因です。もちろん食事や日常のスキンケアで、ダメージを減らすことや肌の修復を高めることは可能です。

万が一日焼けしてしまったときは、状況に応じて漢方薬を使ってみるのもよいでしょう。東洋医学的には、併せて野菜中心の食事を行い、夏の時期であれば身体の熱を取るキュウリやトマト、セロリ、スイカなどを食すとよいでしょう。

しみやそばかすは漢方でいう「気・血・水」の主に血に問題があるとされています。しみ・そばかすという結果のみで選ぶのではなく、つまり症状や状態から漢方薬を選ぶのではなく、「血の流れが悪い瘀血タイプか」、「貧血や血の質が低下している状態を血虚タイプか」など、漢方的な視点で自分がどのタイプに当てはまるのか、判断も必要です。

判断に迷うときは、漢方の専門家に相談することをおすすめします。

【日焼け・しみ・そばかすにおすすめの漢方薬】

『紫雲膏』『太乙膏』 ◇日焼けの外用薬に 

炎症がひどく水ぶくれになった時には、外用薬である紫雲膏や太乙膏をおすすめします。

患部の熱や痛みを取り、皮膚を保護して治りを早めます。使い分けとしては、肌が乾燥傾向にある場合は“漢方のオロナイン”と言われ保湿の力が高い紫雲膏を、肌がジクジク湿った状態であれば、血行を良くし乾かしながら治していく太乙膏を使います。かならず患部を清潔にしてから使うようにしてください。

前提条件として、患部が化膿しているような状態なら自己判断で使用せず、必ず皮膚科を受診してください。

『白虎加人参湯』 ◇肌に熱感とほてり、のどが渇く人の日焼けに ‐ 

日焼けした患部に痒みやほてりがある人に白虎加人参湯は適しています。日焼け後の身体に熱がこもり、その熱を逃がそうと身体の水分が体表から大量に発散されてしまった結果、体内の水分が失われ、のどの渇きや皮膚のほてり、かゆみが現れます。

漢方の気・血・水でいうと、気のパワーが乏しい「気虚」と、身体を冷ますための水が足りない「津虚」という状態にあると考えます。構成生薬の石膏が強力に身体の熱を取り、知母が体内で水分を生成し、人参や粳米が身体に潤いを与え元気にします。

胃腸が弱く体力が著しく低下した人、身体の冷えが強い人には向いていません。食欲不振や吐き気がある人は、必ず専門家に相談するようにしてください。甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。副作用として、肝機能異常、ミオパチー、消化器症状などが記載されています。

『黄連解毒湯』 ◇肌の熱感とともにのぼせ・イライラがある日焼けに –

黄連解毒湯は、普段から身体に強い熱がこもりやすく、よく顏を赤くして興奮するようなイライラタイプに適しており、日焼けの炎症をはじめ、鼻血や痔出血など粘膜からの出血に改善が期待できます。また同時に動悸や不眠、苛立ちなど精神神経症状にも有効です。

4つの構成生薬は基本すべて冷やす作用があるため、身体の中の余分な熱や水分を取り去ることで日焼けによる熱症状や興奮を鎮めます。同じような症状で便秘の人は三黄瀉心湯も考慮するとよいでしょう。

体力のない虚証タイプ、胃腸虚弱な人は使用を避けてください。副作用として、肝機能障害、間質性肺炎、黄疸などが記載されているため、服用前に専門家に相談することをおすすめします。

『桂枝茯苓丸』 ◇瘀血タイプのしみ・そばかすに‐ 

酸素や栄養を運ぶ血液は、人間の身体の隅々まで流れています。瘀血とは血の流れが悪くなり滞ることを言います。体力中等度で上半身にのぼせがあるのに下半身に冷えがあり、肩こり、月経不順、更年期障害、おりものなど婦人科系の悩みが現れるような人は桂枝茯苓丸が適しています。

瘀血を取り除く漢方薬に多く含まれる桃仁と牡丹皮には、血の滞りを強く流す作用があります。血をスムーズに流れることで老廃物が流れ、肌にも栄養や水分が行きわたり、しみやそばかすが出来にくくなると考えます。

著しく体力が低下している人は服用に注意が必要です。副作用として肝機能障害、黄疸、消化器症状が記載されています。

 『四物湯』 ◇血虚タイプのしみ・そばかすに‐

血虚とは、貧血状態や血の質が低下し働きが悪い状態をいい、皮膚が乾燥したり、しみやそばかすができやすくなる原因と漢方では考えます。皮膚が乾燥しがちで色つやが悪く、身体に冷えがあるような人に四物湯は適しています。4つの生薬で構成されたシンプルな薬で、血虚の代表漢方薬といえるでしょう。

著しく胃腸の虚弱な人、食欲不振や吐き気のある人は服用に注意が必要です。副作用として消化器症状が記載されています。

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