おむつかぶれの漢方薬(効果効能・使い分け)

おむつを着用した部分に起きる皮膚のかゆみや痛みを一般的におむつかぶれといいます。

おむつの中は体温と汗などの分泌物で常に高温湿気状態であり、そこへ尿や便をして時間が経過すればするほど肌への負担がかかり、かぶれるリスクは高まります。排泄したとわかれば直ぐにおむつを替え、排泄がなくても夏場などの暑い時期はこまめに替えることが肌を常に清潔に保つことであり、かぶれを防ぐ唯一の方法です。

大人用おむつも最近では、豊富な種類やサイズがあり、生地の通気性にすぐれ履き心地がよいものが沢山ありますが、かぶれないわけではありません。特に高齢者の多くは加齢による肌のバリア機能が低下しているため、こまめなケアが必要となります。

また、おむつかぶれをしっかりケアしているにも関わらず症状が改善されない、膿が出てくるような炎症があるなどの場合は、カンジタ菌というカビの一種や細菌に感染している可能性があるため、自己判断せずまずは病院を受診することをおすすめします。また、高齢の方の場合、見た目にはわかりにくい真菌(かび)感染が隠れている場合があるため、要注意です。

漢方薬では、皮膚の万能外用薬と言われる紫雲膏と飲み薬を併用するとよいでしょう。ただし乳幼児や高齢者の場合は、薬の処方量の調整が必要となるため、必ず漢方薬の専門家に相談するようにしてください。生後3か月未満の乳児には使用できません。

おむつかぶれにおすすめの漢方薬

 『紫雲膏』 ◇かぶれにに直接アプローチ ‐

紫雲膏は乳幼児にも比較的安心してつかえる軟膏です。生みの親は、江戸時代の外科医、華岡青洲(はなおか せいしゅう)で、全身麻酔を用いた手術(乳癌手術)を世界で初めて成功させた人物としても有名です。

古い医書である「外科正宗」に記載されている潤肌膏に、青洲が豚脂(豚の脂)を加えて改良したものが紫雲膏です。かぶれによる炎症やかゆみを鎮めるだけでなく、殺菌や止血の作用もあります。肌荒れなど乾燥性の皮膚の不調、やけどや痔核による痛みにも使われますが、ジュクジュクと患部が化膿している状態には適していません。紫雲膏は赤紫色の軟膏であり、独特の匂いが苦手と感じる人もいるようです。

ドラッグストアでは1000円以内で購入できるチューブタイプもあるので、気軽に是非試してみてください。

『十味敗毒湯』 ◇かぶれによる湿疹ができたら ‐ 

十味敗毒湯は体質体格ともに中等度の人で、かぶれは限られた部分にのみ現れ、患部はジュクジュクと湿り、痒みや熱を持つような症状に適しています。皮膚湿疹のファーストチョイスとしてよく使用される薬です。慢性化し痒みや痛みが皮膚に広がるようであれば、消風散を試してみるのもよいでしょう。

著しく胃腸の弱い人は使用を控えてください。甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、ミオパチー、消化器症状などが記載されています。

『消風散』 ◇かぶれが慢性化してきたら ‐ 

かぶれによって、炎症を起こした患部が赤く熱を持ち、そこからじゅくじゅくと分泌物が出ている状態で、耐え難いかゆみが現れるような症状に消風散は適しています。構成生薬の石膏や木通、蝉退(セミの抜け殻)などが皮膚周辺の熱を取り、知母や防風などの鎮静作用でかゆみを抑えます。

地黄が含まれるため、胃腸の弱い人や身体の冷えが強い人には向いていません。

甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。副作用として、ミオパチー、消化器症状などが記載されています。

『排膿散及湯』 ◇化膿してしまったとき‐ 

排膿散及湯は、3世紀はじめに書かれたとされる医学書「金匱要略」に記載されている排膿湯と排膿散を合方した日本独自の漢方薬で、体力や体質は問わず使用できます。おむつかぶれから細菌感染し化膿してしまった時に適しています。

その他にきびや痔瘻、慢性の副鼻腔炎など、皮膚や粘膜の化膿や炎症、痛みを抑え改善します。構成生薬の枳実と桔梗には化膿した患部の膿を排出する作用があり、また枳実と芍薬の組み合わせが気を巡らせて血の流れをよくします。排膿散及湯という名前でドラッグストアの店頭に並ぶことはないようですが、同じ生薬構成で販売名を変え、商品を発売している製薬会社もあるので、店頭の薬剤師や登録販売者に相談するとよいでしょう。

また、多くの漢方薬に含まれる生薬といえば「甘草」ですが、排膿散及湯には特に甘草が多く含まれているため、アルドスロン症やミオパチーのある人、低カリウム血症の人は使用禁止とされています。また、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。

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