微熱の原因と、漢方薬による対処方法

微熱とは

何だか体がだるくて熱を測ったら微熱があったということは誰にでも経験があると思います。風邪による発熱であるならばすぐに治りますが、微熱が長引く場合には何らかの病気が隠れている可能性があるので要注意です。

微熱とは体温が37℃~38℃のことをいいますが、平熱には個人差があるので、平熱より1℃高い状態を微熱と考えたらよいでしょう。体温が1℃上がるだけでも倦怠感など体の不調を感じやすくなります。

微熱の原因

微熱が続く原因はいろいろ考えられますが、主に①女性ホルモンの影響、②ストレスによる自律神経の乱れ、③微熱を引き起こす様々な病気に分けられます。

  • 女性ホルモンの影響:女性は排卵日から生理までの期間あるいは妊娠すると、女性ホルモンの影響で体温が上昇します。また、更年期には女性ホルモンのバランスが崩れて微熱が続くことがあります。
  • ストレスによる自律神経の乱れ:私達は仕事や家庭環境、人間関係、不規則な生活スタイルなど、現代社会において精神的にも肉体的にも多くのストレスにさらされています。人間の体はストレスを受け続けると緊張状態が続き、自律神経がきちんと働かなくなります。その結果、体がリラックスできず、元気な状態に回復することが難しくなり、微熱などの体の不調が現れるようになります。検査しても特に異常がない、解熱剤を飲んでも効かないなどの場合には自律神経が乱れている可能性が考えられます。この場合には十分な休養をとってストレスを取り除くことが必要です。
  • 微熱を引き起こす様々な病気:風邪、インフルエンザ、肺結核、甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、白血病、慢性副鼻腔炎、慢性扁桃腺炎、胆のう炎、虫垂炎、慢性膀胱炎、慢性腎盂腎炎、尿路結石などがあります。

微熱に対する西洋医学的な対処と漢方医学(漢方薬)の場合

西洋医学では原因がはっきりしない微熱に対して治療が難しいといわれます。しかし、漢方医学では逆に得意とする分野のひとつです。まず、発熱が起こる原因が外界の邪気によるものなのか(外感発熱)、体の内側から起きているのか(内傷発熱)を見ていきます。

外感発熱とは気候の変化により体に悪影響を与える邪気が体内に侵入してきたときに、この邪気を追い出そうとして熱が発生することをいいます。多くは急性の発熱で、代表的なものが風邪です。

一方、内傷発熱とは体を構成している気(生命エネルギー)、血(血液)、水(体液)のバランスの乱れ、陰陽のバランスの乱れ、あるいは臓器の機能が低下することによる発熱です。長期にわたる微熱は内傷発熱にあたります。

内傷発熱を分類するとよく見られるのは次の2つのタイプです。

  • 気虚タイプ:気の不足によって発熱が起こります。気が不足する大きな要因として脾の機能低下が挙げられます。脾は食物を消化吸収して気を作り出す役目を担っていますが、脾の不調により気が作られなくなると発熱が起こります。胃腸が弱い人に多く見られ、疲れると発熱しやすくなります。このタイプには気を補う「補中益気湯(ほちゅうえっきとう:ツムラ41番」が用いられます。
  • 陰虚タイプ:漢方医学では人間の体を陰と陽に分けて考えます。陰には体を潤し、体内の余分な熱を冷ます役割があり、陽には体を温め、各臓器を活発に動かす役割があります。この陰陽のバランスが崩れ、陰が不足した状態を陰虚といいます。陰が不足すると潤いが不足し、相対的に陽が亢進することによって発熱が起こります。夕方から夜にかけて発熱し、朝には平熱に戻るのが特徴です。しばしば寝汗も伴います。

    このタイプには、陰を補い熱を冷ます「六味地黄丸(ろくみじおうがん):ツムラ87番」や「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」「滋陰降火湯(じいんこうかとう):ツムラ93番」などが適しています。

微熱が続くということは、体からの異常を知らせるアラームだといえます。少しくらい熱があっても大丈夫だと無理をするのは禁物です。実際には、大きな問題になる病気でないことの方が多いのですが、体が少し休みを欲しているサインであるかもしれないのす。そのときにはゆっくり休んで自分の体をいたわってあげることも大切です。

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