シェーグレン症候群では、腎障害が起こります。中でも間質性腎炎は腎機能が低下する原因では最も多い原因になります。腎臓のダメージというのは、腎臓で濾過する機能が落ちて、将来透析に繋がる確率が上がるという意味でのダメージで、低カリウム血症などのミネラル異常が出るだけの物ではなく、放っておくと腎臓が駄目になってしまうリスクのある場合のことです。
間質性腎炎があって放置してしまうと、腎臓の組織が繊維化し、治療のタイミングが遅れるとダメージが完全には元に戻らない場合もあります。
シェーグレン症候群の場合、血液検査でクレアチニン値とeGFRという数値を気をつけて見ていく必要があります。シェーグレン症候群に限らず、間質性腎炎の場合は、『血尿』や『タンパク尿』などの、一般的な尿検査でわかる腎臓にダメージをあたえているサインが出現しにくい、という特徴があり、間質性腎炎を合併していることが見逃されやすいため注意が必要です。
どのように見ていくかというと
・血液検査でクレアチニン値が高くなってきている
・eGFRが下がってきている
・尿の糖が出てきている
・尿タンパクがわずかに出ている
などがサインになります。
これらの項目は、健康診断でも見ることができるので、もし気になる方はチェックしてみてください。正常値であることが重要ではなく、以前との比較が大事です。クレアチニンは、その人の筋肉の量によって元々の数値は違います。以前より上がっていたら、正常値であっても異常の場合があります。変化がないかをみてください。
間質性腎炎を合併している場合、きちんと腎臓内科の先生に相談してください。漢方だけで治そうというのは良い選択肢ではありません。きちんと早期にステロイドで治療して、ステロイドをなるべく少なくなるように減らしていくことが治療のメインになります。
腎生検という、腎臓の組織を調べる検査を行い、間質性腎炎の確定診断を付けます。そして、間質性腎炎を起こす他の病気(感染症や他の膠原病や薬)などの可能性よりもシェーグレン症候群によるものだろうとなれば治療をします。
この間質性腎炎は、『治療の早さ』と『確実性』が求められるため、第一選択薬はステロイドです。その状態が落ち着き、臓器病変が改善したらその後に漢方薬を選択肢にいれるのは悪くないかもしれませんが、まずはしっかりと科学的根拠に則った治療することが一番大事であることを、重ねてお伝えします。