手足のこわばりの漢方薬(原因と症状の解説付)

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■こわばりの症状が起きる疾患

こわばりとは、関節や筋肉の動きが制限されたり、動かすのが困難になったりする感覚です。起床時やしばらくじっとしていた直後にこわばりを感じたり、こわばり感が強くなったりすることが多いです。

・関節リウマチ

関節に慢性的な炎症が起こり、関節が徐々に破壊されて機能障害を起こす病気です。関節の腫れや痛み、こわばりなどの症状が、手首や手足の指の関節によく起こります。特に起床時に関節があまり動かず、時間がたつと徐々に動くようになる「朝のこわばり」が特徴的です。30~40代の女性に発症することが多く、免疫システムの異常が生じることが原因です。

・膠原病

全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、発熱や湿疹、関節の痛みやこわばりなどの症状が見られます。関節リウマチや全身性エリテマトーデス、ベーチエット病なども膠原病の一つです。病名や重症度によっては難病特定疾患に指定されているものもあります。一般的に副腎皮質ステロイドホルモンによる治療を行うことが多く、その他それぞれの疾患に特徴的な免疫抑制剤などの治療法があります。

・パーキンソン病

脳からの運動の指令が筋肉にうまく伝わらず、なめらかな動作ができなくなる病気です。手足のふるえ、筋肉のこわばり、動きが遅い、バランスがとりづらい、という4つの症状が主に起こります。体を動かす機能を調節する神経伝達物質「ドパミン」を作る、脳の黒質の神経細胞が減少する事が原因です。治療は薬物療法を基本に、リハビリや生活療法などを合わせて行います。

・変形性関節症

骨と骨の間の軟骨がすり減って痛みや腫れ、関節のひっかかり感などが起こり、進行すると関節の変形をおこす病気です。遺伝や高齢、特定の関節を良く使う職業などが原因と考えられています。薬物療法で痛みや腫れを抑え、運動療法で関節周りの筋肉を鍛えて関節の負担を軽くするなどの治療が中心となります。

・更年期における関節症

閉経に伴って急激に女性ホルモンが減少することで、手の朝のこわばりや関節の痛みなどの症状が起こることがあります。通常、閉経後最初の半年間が最も症状が強く起こり、数年で徐々に消えていきます。女性ホルモン補充療法も治療の選択肢の一つとなります。

効果的な漢方薬治療と対策

■関節リウマチに効果的な漢方薬

東洋医学では、慢性関節リウマチの治療には血液の循環と水分の停滞を改善することが大切と考えられます。また漢方薬の免疫を高める作用が治療に有効だとも言われています。

・越婢加朮湯・・・鎮痛効果、体の余分な水分を取り除く作用が強い生薬が配合されています。体力があって口渇や尿量減少といった水の偏りがある、胃腸が丈夫な人に向いている漢方薬です。

・桂枝加朮附湯・・・余分な水分による害を取り除き、血行を良くして痛みをやわらげる効果があります。高齢者や体力がない人で、冷えがある場合に用いられます。

・大防風湯・・・体力を補い、体を温め、血行を良くする生薬が配合されています。病気が長引いて体力が低下し、冷えがあるような人の慢性関節炎に効果があるとされています。関節リウマチの他、変形性関節症にも使用される漢方薬です。

■膠原病に効果的な漢方薬

 膠原病には自己免疫が共通してみられ、漢方薬の免疫機能を調節する働きが治療に有効とされています。自身の生命力(たとえば「脾」や「腎」の力)を高めて、自己を攻撃する闘いに打ち勝つという考え方もあります。

 

・十全大補湯・・・全身性エリテマトーデス(SLE)に効果があると言われていて、ステロイドと併用して使われることがよくあります。「気」と「血」を補う漢方薬で、全身が衰弱して冷えがある人に向いています。SLEによる炎症反応が高い時に使用を控えます。「気」の余りは「火(炎症の熱)」になるとされているためです。

・柴苓湯・・・内因性ステロイドを増強することにより、抗炎症作用を示すことが証明されています。ステロイドの減量目的として使用されることが多い漢方薬です。

■パーキンソン病に効果的な漢方薬

パーキンソン病の治療に漢方薬を用いることで、初期の症状を抑え、中期では薬の副作用を軽減したり薬を減量したりすることができます。近年パーキンソン病の漢方治療の研究が行なわれるようになってきていて、様々な効果が証明されています。

・半夏厚朴湯・・・気の巡りを良くし、精神不安定やのどの使える感じを改善する作用があります。また咳や吐き気など咽頭・食道に関する症状に効果があるため、嚥下障害に有効と言われています。

・柴朴湯・・・半夏厚朴等と小柴胡湯を合わせた処方です。パーキンソン治療薬のL-ドーパと併用することで、L-ドーパの効果が長続きしたり、副作用である不随意運動が減るという効果が分かっています。

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