小青竜湯の特徴
水のような鼻水や痰、くしゃみ、鼻づまり、咳など、かぜやアレルギー性鼻炎や気管支炎、気管支喘息の症状があるときに用いられる漢方薬です。
西洋薬によくある眠気の副作用はありません。
目のかゆみや涙などの症状にも効果があり、花粉症の治療薬としても用いられています。
次のような人に有効です。
- 体力が中等度またはやや虚弱
- 胃のあたりを軽くたたくと、ポチャポチャと音がする
- 水様性の痰が出る
- 水のような、さらさらとした鼻水、くしゃみが出る
小青竜湯の作用・効果
麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)は体を温める作用があります。
細辛(サイシン)、乾姜(カンキョウ)は体を温め、体内の余分な水分を排泄する作用があります。
芍薬(シャクヤク)、五味子(ゴミシ)は汗の出過ぎを抑え、咳を止める作用があります。
半夏(ハンゲ)は痰を取り去る作用があります。
甘草(カンゾウ)は他の生薬との調和作用と免疫調整作用があります。
花粉症やアレルギーに対する小青竜湯の効果
薬効試験では、抗アレルギー作用や抗炎症作用が確認されています。また、臨床試験では、アレルギー性鼻炎に対する効果を示す確実な漢方薬という報告があり、気管支炎、気管支喘息の症状の改善も報告されています.
実際に役立つ効果として、抗ヒスタミン薬を併用した場合に眠気などを防ぐ効果とアレルギーに対する効果の2つが期待できる。
小青竜湯の成分・効能
小青竜湯は、8種類の生薬からなります。
・麻黄(マオウ):マオウ科のシナマオウの茎を乾燥させたもの。薬効は、発汗作用、鎮咳作用、気管支のけいれんを抑制する作用があります。交感神経や中枢神経を興奮させる作用があるため、頻脈、動悸、血圧上昇が起きる可能性があるため、高血圧症や心臓病のある人には注意が必要です。
・桂皮(ケイヒ):クスノキ科のニッケイの樹皮または枝を乾燥させたもの。薬効は、「気」の巡りを整え、発汗によって体表の毒を除く働きがあります。解熱作用、鎮静作用、血行促進作用、抗血栓作用があります。
・芍薬(シャクヤク):ボタン科のシャクヤクの根を乾燥させたもの。「血(ケツ)」の巡りをよくし、筋肉のけいれんを鎮めたり、鎮痛作用があります。
・半夏(ハンゲ):サトイモ科のカラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。「水(スイ)」の代謝障害を改善するとともに、「気」の巡りを調節します。
・五味子(ゴミシ):マツブサ科のチョウセンゴミジの果実を乾燥させたもの。薬効は、体内に滞っている「水(スイ)」を拡散させる作用があります。また、「肺」の機能を調整して、咳や痰を鎮める作用があります。
・細辛(サイシン):ウマノスズクサ科のウスバサイシンの根茎と根を乾燥させたもの。薬効は、痛みを鎮め、体を温める作用があります。のどの痛み、鼻水、咳や痰の症状をやわらげる作用があります。
・乾姜(カンキョウ):ショウガ科のショウガの根茎を蒸してから乾燥させたもの。冷えを改善する作用があります。さらに、冷えをともなう腹痛、腰痛、下痢などの治療にも用いられます。
・甘草(カンゾウ):マメ科のカンゾウの根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和作用、緊張をゆるめる作用があります。
小青竜湯の副作用
著しく体力の衰えている人、食欲不振・悪心・嘔吐のある人、発汗傾向のある人、乾いた咳や粘っこい痰が出る人には適していません。
配合生薬の麻黄により、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、血圧上昇などの副作用が起こる可能性があります。高血圧や心臓病の既往歴のある人は注意が必要です。麻黄を含む他の漢方薬、エフェドリン類含有製剤、MAO阻害薬、カテコールアミン製剤、キサンチン系製剤を服用している人の併用は注意してください。こういった麻黄が含んでいない処方で探す場合、鼻水やくしゃみが強い場合には、苓甘姜味辛夏仁湯を用いる場合があります。
また、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。アルドステロン症、ミオパシー(筋肉障害)、低カリウム血症の人は使用できません。
小青竜湯の服用方法
ツムラ小青竜湯エキス顆粒によると、通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。