麻黄の効能・使用される漢方薬 西洋医学との関わり

麻黄は、マオウ科の草麻黄の地上茎を乾燥させた、辛温解表薬に分類される生薬です。中国、インド、イランを産地とし、総アルカロイド(エフェドリン、プソイドエフェドリン)、タンニン類、多糖類を成分としています。麻黄の名前の由来は、舌先を麻痺させて黄緑色に着色させてしまう事からきています。

【中医学的に見る麻黄】

麻黄は肺、膀胱系を帰経とし、味を辛、微苦、性を温とする生薬です。外感風寒による悪寒、発熱、身体疼痛、喘息に使用されます。また、表証で浮腫みを伴う証には発汗利水作用を発揮し浮腫みの改善を行います。

麻黄の発汗力は強い為、汗っかきの方や寝汗が強い方の使用はおすすめできません。

【主な漢方薬】

:急性熱性病(風邪、インフルエンザ)に使用される漢方薬です。強い発汗作用がある為、脱水症状に気を付ける必要があります。麻黄はこの漢方薬において、辛温解表作用を発揮しています。なお、麻黄と桂枝は相須関係にある為、本漢方薬の発汗作用をより強めています。

:油汗をかくような気管支喘息の症状に使用される漢方薬です。麻黄はこの漢方薬において、咳を止め、痰を切り、利水する効果を発揮しています。

:浮腫や尿が出にくい方の湿疹、ネフローゼ、腎炎等に使用される漢方薬です。麻黄はこの漢方薬において、風湿を取り除き利水する効果を発揮しています。

:生薬「五味子」のページを参照して下さい。麻黄はこの漢方薬において、辛温解表作用を発揮し咳と痛みを止める働きをしています。

:生薬「葛根」のページを参照して下さい。麻黄はこの漢方薬において、辛温解表作用を発揮し咳を止める働きをしています。

【西洋医学的に見る麻黄】

動物実験において、水製エキスでは中枢興奮作用、交感神経興奮作用(血圧、心拍数、血糖上昇)、発汗作用、鎮咳作用、気管支拡張作用、気道粘液分泌促進作用、抗アレルギー作用が見られました。

また、エフェドリンにはアドレナリン類似の交感神経興奮作用、ドーパミン様の中枢神経興奮作用や鎮咳作用がある事が報告されています。

よって、麻黄を含む処方は血圧の高い人、心筋梗塞や狭心症の既往や危険のある人、高齢者、胃腸の弱い人には原則としては用いられません。

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