COPD(慢性閉塞性肺疾患)の漢方薬(効果・効能)

  1. 症状の特徴

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、慢性気管支炎と肺気腫を合わせた病気です。かつては別々の疾患として区別されていましたが、両者は原因も治療方法も同じであることがわかり、両者を合わせて、COPDと言われています。

COPDは、ほぼ毎日痰や咳が少なくとも3ヶ月間、連続して2年以上にわたり見られる疾患と定義され、喫煙する人に多い疾患です。

痰は早朝に多く、咳は冬季に悪化する傾向があります。さらに、慢性副鼻腔炎を合併する場合が多いです。

胸部X線写真などの検査を行っても明らかな異常がない場合が多いのですが、慢性の咳の裏にガンや結核の可能性もあるため、咳や痰が長引く際は医療期間で検査を受けることが大切です。

  1. 西洋医学の治療

発熱をしたり、痰に膿が混ざっていたりすると、細菌感染が疑われます。その場合には抗生物質が有効です。

それ以外の場合は、抗生物質では効果がないため、鎮咳薬や去痰薬が処方されます。吸入のスピリーバという薬はCOPDの予後も含めて改善の報告があり、重要な薬です。

咳や痰は、もともと気道に侵入した異物を排除する防衛機能の一つです。咳止めによって咳を抑えすぎてしまうと、呼吸が困難になったり、感染を悪化させる可能性もあるので、注意が必要です。

  1. 漢方医学の治療

漢方薬で慢性の咳の人には麦門冬湯が頻繁に処方されます。

麦門冬湯は抗炎症作用のある鎮咳剤で、痰の排出を活発にする作用もあります。そして、気道を潤す作用もあり、この「滋潤作用」は西洋薬にはみられにくい特徴です。

  1. COPDに対して用いられる主な漢方処方

以下にタイプ別に用いられる漢方処方を挙げます。

  1. ライフスタイルで注意すること

喫煙家にとっては、禁煙が一番有効です。禁煙をして症状が改善する人が非常に多いです。また、痰が出にくい場合に、水を服用すると痰が切れやすくなります。

冬場は空気の乾燥で気管支炎症状が悪化することが増えるため、室内の加湿をすることも有効な手段です。

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)

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