動悸・心悸亢進の漢方薬(症状の解説・効果効能)

  1. 症状の特徴

動悸とは、胸がドキドキする、脈が早い、リズムが乱れる、強く感じる状態をいいます。また、心悸亢進とは、心臓の拍動が速く、強くなる状態をいいます。

一時的な動悸や心悸亢進は、精神的な緊張や興奮によってよく起こりますが、頻繁に続く場合は、不整脈や心筋症などの心臓病、COPD、甲状腺機能亢進症、脱水症状や薬の副作用などが考えられます。

  1. 西洋医学の治療

血圧測定、心電図測定などの西洋医学的検査をして何が原因かを調べます。一般的には、脈拍は規則正しく、安静時には60~100回/分です。脈拍が150回/分以上では、心臓について十分に検査を行う必要があります。また脈拍が40回/分以下の時にも、不整脈を原因とする病気の可能性があるため、検査が必要です。

最近では、植え込み型の心電図測定もできます。体の中に心電図計を植え込み、症状が出たときにボタンを押すとそこの部分を重点的に見る、という方法です。

血圧上昇が原因の場合には、降圧剤を用い、心臓が原因の場合は不整脈の薬などで治療をします。また、検査を受けても異常がないのに、動悸や胸苦しさを訴える人がいます。緊張や不安など、不安神経症によって起こる場合は、抗不安薬を用いたり、心理療法を用いて治療をします。

  1. 漢方医学の治療

心筋梗塞や不整脈などの疾患が原因の場合は、漢方薬は適切ではありません。

高血圧や、更年期障害やCOPD、精神的な原因の場合には漢方薬は有効で、積極的に用いられています。

動悸や心悸亢進は東洋学でいう、気・水の異常で気滞、水毒によるものだと考えます。

  1. 動悸・心悸亢進に対して用いられる主な漢方処方

以下にタイプ別に用いられる漢方処方を挙げます。

  • 体力がある人
  • のぼせ、不安、イライラ→黄連解毒湯
  • のぼせ、のぼせ、胸脇苦満、不安、イライラ→柴胡加竜骨牡蛎湯
  • 体力が中程度の人
  • のどのつかえ、気分がふさぐ、不安→半夏厚朴湯
  • 体力がない人
  • 自律神経失調症、頭痛、肩こり、のぼせ、不眠→加味逍遙散
  • 神経症、疲労感、不安感、へその周辺の動悸→桂枝加竜骨牡蛎湯
  • 疲労感、心臓弁膜症、息苦しさ、むくみ、ほてり→炙甘草湯
  • 虚弱体質の子供、夜泣き、夜尿症、神経過敏→小建中湯
  • めまい、ふらつき、のぼせ、貧血→苓桂朮甘湯
  1. ライフスタイルで注意すること

日常生活のなかで、ストレスや睡眠不足、過労が原因になる場合も多いため、日頃から注意をする必要があります。

参考文献

・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)

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