頭痛の漢方薬(効果効能・使い分け)

症状の特徴(頭痛とは)

頭痛は、一般的には急性、慢性、その他の頭痛に区別することができます。慢性頭痛はさらに、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に分けられます。

慢性頭痛のうち特に多いのは、片頭痛、緊張型頭痛で日本人の約8%の人が片頭痛症状を訴えています。

片頭痛:こめかみ付近がズキンズキンと脈打つような痛みで、数時間から2、3日続く。原因は、脳の血管が過剰に拡張して炎症を起こすためとされています。

緊張型頭痛:頭全体が締め付けられるように痛み、肩こりをともなう。原因は、心理的な要因が大きいとされています。

群発頭痛:男性に多い頭痛で、眼の奥が激しく痛み、1年に1、2回の割合で発作的に起こる頭痛です。

西洋医学の治療

頭痛の部位や痛みの程度、頻度やその持続性、急性か慢性かを問診を行って調べます。そして、さらに詳しく検査を行うことで、何が原因なのかを調べていきます。

慢性頭痛の場合、原因を特定できないことが多く、対象療法で治療をするしかありません。軽度のものはそれぞれの症状に見合う薬で治療をします。

片頭痛の西洋学的な治療

血管を収縮させる薬、三叉神経を鎮静化する薬、鎮痛薬を処方します。

例 バファリン錠、ボルタレン錠、イミグラン錠、ゾーミック錠、レルパックス錠、マクサルト錠、カフェゴット錠

緊張型頭痛の西洋学的な治療

鎮痛薬で痛みを和らげる、筋弛緩剤で筋肉の緊張をほぐす、抗不安薬で緊張を鎮める治療をします。

例 バファリン錠、ポンタール錠、デパス錠、ミオナール錠

漢方医学の治療の特徴と気・血・水

漢方治療には、重大な副作用や習慣性は少なく、腎臓や肝臓などの副作用の出現頻度が低く、その点で比較的安全性が高いという特徴があります。効果としてはマイルドですが、長期に服用することで、体質改善をはかり、頭痛発作の出現を少なくすることができます。

漢方治療の対象となるのは、片頭痛と、緊張型頭痛、更年期障害や月経にともなう頭痛などです。

頭痛が起こる原因は、東洋医学でいうところの気、血、水の異常ととらえます。慢性頭痛は、体内の水の停滞(水滞)、気の逆流(気逆)、気の滞り(気滞)、気の不足(気虚)、または血の滞り(瘀血)などによりバランスが崩れた状態によっておこるとされています。さらに、五臓の肝や脾の異常と捉えられるものもあります。

頭痛に対して用いられる主な漢方処方

片頭痛に主に用いられる処方は、五苓散、桂枝人参湯、呉茱萸湯です。緊張型頭痛に主に用いられる処方は、葛根湯、桂枝茯苓丸、大柴胡湯、抑肝散、釣藤散です。

以下にタイプ別に用いられる漢方処方を挙げます。

  • 体力が充実しているタイプの人
  • 体力があり、高血圧、便秘をともなう場合→大柴胡湯
  • 比較的体力があり、胃腸が丈夫、首から肩にかけてのこり→葛根湯
  • 体力が中程度以上の人
  • 瘀血によるのぼせ、肩こり、頭重感、下腹部痛→桂枝茯苓丸
  • 水滞により口が渇き、めまい、尿量減少、むくみ→五苓散
  • 悪寒発熱、首から肩にかけてのこり→葛根加朮附湯
  • 中年以降、肩こり、高血圧傾向、めまい→釣藤散
  • 体力がない人
  • 更年期障害、頭重感、のぼせ、肩こり、倦怠感→加味逍遙散
  • 胃腸が弱い、足の冷え、頭重感、めまい→半夏白朮天麻湯
  • 冷え性、吐き気、みぞおちの抵抗や圧痛→呉茱萸湯

ライフスタイルで注意すること

頭痛は日常的によくある症状で、「頭痛もち」の人の多くは、市販の頭痛薬を使って痛みをとめています。

自己判断による頭痛薬の使い過ぎは、体が慣れてしまうために薬の量が増えてしまい、「薬物乱用頭痛」を招きやすくおそれがあります。

頭痛症状が出現した時の状況を記録したり、規則正しい生活、十分な睡眠、健康的な食事、ストレスのない生活を送るように心がけ、頭痛が生じた時に何が原因かを考えることが大切です。

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