ふけ・かゆみの原因と症状、使用する漢方薬

ふけ・かゆみの原因

ふけや頭皮のかゆみは頭皮環境の悪化や病気などが原因で起こります。そして、それらの症状に悩む人は多いです。ふけやかゆみを引き起こす頭皮の状態には乾燥性のものと脂漏性のものがありますので、まずそれぞれの違いを知りましょう。

・乾燥性の頭皮

乾いてパラパラと肩などに落ちるようなふけが出る。洗浄力の強いシャンプーや洗髪のし過ぎ、季節による皮脂分泌量の低下、エアコンによる頭皮の乾燥、アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患、甲状腺機能低下症など病気による皮脂分泌の低下、栄養不足などが原因となります。

・脂漏性の頭皮

湿ったふけや、かたまった大きいふけが出る。洗髪回数が少ないまたは多すぎる、糖質や脂質の摂り過ぎによる皮脂分泌の増加、ホルモンの影響や体質によるもの、脂漏性皮膚炎などが原因となります。

その他パーマ液や染毛剤・整髪料などによる接触性皮膚炎、更年期障害などによるホルモンのアンバランス、ストレスによる免疫力の低下なども原因となります。

ふけ・かゆみの改善・治療法

乾燥性頭皮が原因のふけの改善方法

疾患などの明らかな原因が無い場合は、洗髪の習慣や環境を見直してみます。洗浄力の強いシャンプーは皮脂を取り過ぎて乾燥の原因になるので、皮脂分泌量に合わせたマイルドなもの使用しましょう。適切な洗髪回数や頻度は個人差がありますが、現在の頻度で乾燥を感じる場合は少し減らしてみると改善することがあります。エアコンによる乾燥が気になる場合は加湿器などで湿度を調整しましょう。

アトピー性皮膚炎では皮膚が乾燥しやすいのでスキンケアが欠かせません。シャンプーは刺激が少ないものを選び、乾燥が気になる時や症状が悪化している時はお湯だけで洗うようにすると良いでしょう。治療は症状に応じて抗アレルギー薬等の内服や炎症を抑えるステロイド外用剤、保湿剤などを組み合わせて使用します。頭皮に使いやすいローションタイプの保湿剤もあります。

乾癬では何らかの原因で皮膚の生まれ変わるサイクル(ターンオーバー)が異常に早くなり、角質がふけのように剥がれ落ちます。治療はステロイドや皮膚の増殖を抑える外用薬、免疫抑制剤の内服や点滴製剤などが主に用いられます。

内科的疾患などがある場合は一般的な対策と適切な治療を行うようにします。

脂漏性頭皮の場合

頭皮の皮脂分泌量が多い場合洗髪回数が少なすぎるのも良くないのですが、頻繁に洗い皮脂を過剰に取り過ぎることで、より多くの皮脂が分泌されてしまうことがあります。シャンプーの洗浄力も考慮し、洗髪方法を見直すことで改善するケースもあります。

脂漏性皮膚炎では頭皮や顏、胸など皮脂分泌量が多い部位に赤み・ときにかゆみ・はがれた皮膚が付くといった症状が起こります。皮膚にいる常在菌の一種が原因の一つであると言われ、治療にはこの常在菌に効果がある抗真菌剤や炎症を抑えるステロイドの外用剤、皮脂の過剰な分泌を抑える効果のあるビタミンB2やB6の内服などが一般的に行われます。

日常生活では、脂肪や糖分・刺激物などを控えたバランスの良い食事を摂ること、ストレスや疲労による免疫力の低下も発症や悪化の原因になり得るので気をつけることなどが挙げられます。市販の抗真菌剤が配合されたシャンプーの使用も改善・予防効果が期待できるとして推奨されています。

ふけに対する効果的な漢方薬治療と対策

漢方では頭皮が乾燥して乾いたふけやかゆみがある状態は、「血虚(体に栄養と潤いを与える血が不足している状態)」や血の巡りが悪いことが原因と考えます。血を補ったり血行を良くして冷えを取る効果がある漢方を中心に用います。

また脂漏性皮膚炎のような状態は体にたまった熱によって起こるとされ、体内の熱を冷ます(清熱)処方が使われます。ストレスや食事の不摂生でも熱が発生しやすくなるので生活習慣などにも注意が必要です。

当帰飲子・・・血を補い皮膚に栄養や潤いを与える作用があります。皮膚がカサカサと乾燥してかゆみやふけのような皮膚が剥がれ落ちる症状に効果があり、アトピー性皮膚炎や乾癬、乾燥性湿疹や老人性掻痒症などに用いられます。

当帰芍薬散・・・血を補い、血行を良くして体を温め、体内の余分な水を取り除く作用があります。体力がなく血行不良による冷えがあり、血虚で髪にもツヤがないといった人に効果的で、女性の生理痛や生理不順にもよく用いられます。血虚の他にむくみなど水の停滞があるタイプの人にも向いています。

十味敗毒湯・・・熱を冷まし炎症を抑える作用があり、多くの皮膚疾患や化膿性疾患に用いられている漢方薬です。患部が熱を持っているような皮膚症状に効果的で、脂漏性皮膚炎が改善した症例も多く報告されています。

黄連解毒湯・・・熱を冷まし体内の毒を取り除く作用がある生薬が組み合わされている処方です。比較的体力があり、ストレスなどで体に熱がたまってのぼせやイライラがあるような人に向いています。特に上半身の熱による症状に効果的で、高血圧や急性胃炎などにも使われます。

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