中耳炎の原因と症状、使用する漢方薬

中耳炎とは

中耳炎とは、耳の鼓膜より奥の「中耳」という部分が菌などにより炎症を起こす病気です。中耳は耳管という管で鼻とつながっていて、風邪などをきっかけに菌が鼻から中耳に入ることが主な原因となります。特に子どもは耳管の短さや構造から菌が入りやすく、風邪から中耳炎になりやすいです。

基本的に、中耳炎は耳鼻科の病気なので、一度きちんと耳鼻科で見てもらってください。処置が必要なケースもあります。

中耳炎の種類と症状

・急性中耳炎

風邪などにより菌が耳に入ることで中耳に炎症が起こります。鼓膜が赤く腫れる、中耳に膿が溜まる、耳の強い痛み、発熱などの症状が急に起こるのが一般的です。鼓膜に穴があき膿が耳の外に出てくる「耳だれ」が起こることもあります。痛みや熱は数日で治まりますが、たまった膿がすっかり抜けるまでは数ヶ月かかることもあります。

・滲出性中耳炎

中耳に浸出液と呼ばれる水が溜まった状態の中耳炎です。激しい耳の痛みや発熱・耳だれなどの症状はなく、耳が塞がったような感じや音が聞こえにくい・耳鳴り・軽い耳の痛みなどが見られます。急性中耳炎から滲出性中耳炎へ移行したものや、アデノイドや副鼻腔炎などがあって耳管の機能が低下し浸出液が溜まりやすくなるなどの原因があります。

・慢性中耳炎

急性中耳炎などで鼓膜にあいた穴が塞がらなくなっている状態です。鼓膜に穴があいているため、感染しやすくなり耳だれを繰り返すことや、炎症により音を伝える耳の機能が低下することによる難聴が主な症状です。

中耳炎の治療

・鼻の処置

中耳にたまった膿や浸出液は耳管を通って鼻から抜けていくため、鼻水が溜まらないようにします。耳鼻科で吸引してもらうほか、鼻をこまめにかむように心がけます。

・薬物治療

急性中耳炎で耳の痛みが強い時に用いる痛み止め、炎症を抑える薬、抗生剤などが症状に合わせて使用されます。抗生剤が処方された時は中止せず最後まで飲み切ることが大切です。

・鼓膜の処置

中耳の膿や浸出液が増えて聞こえが悪くなった場合は、鼓膜を切って吸引する「鼓膜切開」を行なうことがあります。鼓膜切開によってできた穴は数日で自然に塞がります。

また鼓膜に小さなチューブを入れて空気の通りを良くし、浸出液を溜まりにくくする方法もあります。滲出液がなかなか抜けない場合や、鼓膜切開の穴が塞がるとすぐ浸出液が溜まってしまう場合などに行われます。反対にチューブを用いても抜けない浸出液を鼓膜切開で取り除く場合もあります。

その他として、アデノイドなど中耳炎を起こしやすくする病気の治療や、慢性中耳炎に対する鼓膜形成術などの治療法があります。

中耳炎の時に使用される漢方薬

中耳炎の漢方薬治療では、急性や慢性の炎症を鎮めるものや、溜まった膿や浸出液(水毒ととらえます)を排膿・排出する作用があるもの、中耳炎を起こしやすい鼻や喉の疾患を改善するもの、体力や抵抗力をつけて自然治癒力を高めるものなどが、症状や体質などに合わせて用いられます。

荊芥連翹湯・・・熱や炎症を冷ます作用があり、中耳炎や蓄膿症・ニキビなど特に首から上の炎症に効果的な漢方薬です。体力中程度で、手や足の裏にしっとりと汗をかきやすく、体質的に化膿や炎症を起こしやすいような人に向いています。

柴胡清肝湯・・・熱や炎症を冷まし、自律神経などに関わる肝の働きを調節する作用があります。アデノイドや扁桃腺炎などのほか、中耳炎になりやすい体質などに対して使用されることがあります。体力があまりなく神経質なタイプの小児に向いている漢方薬です。

排膿散及湯・・・熱や炎症を冷まし、化膿した部分の膿や痰を排出する作用があります。漢方の抗生物質とも呼ばれ、なかなか膿が排出されない中耳炎によく用いられます。比較的体質を選ばずに使用できる漢方薬です。

柴苓湯・・・体内の余分な水を取り除き、熱や炎症を鎮め、胃腸の調子を整えて体に抵抗力をつける作用があります。滲出性中耳炎に対してよく用いられます。体力中程度でみぞおちあたりのつかえや、むくみ・尿量減少など水の停滞がみられるような人に向いています。

黄耆建中湯・・・胃腸の調子を整え、余分な水を除き、強壮作用がある漢方薬です。虚弱体質や病後の体力回復、慢性的な皮膚や粘膜の疾患に用いられ、滲出性中耳炎や慢性中耳炎に使われることがあります。

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